【ニナバン小説】夢色マカロンと告白する勇気

ときメモGS

本家4やった記念にニナバンとハルちゃん。
ニーナとハルちゃんが同い年ということで絡ませてみたクロスオーバー的な話。
ニーナとハルちゃんが2年生、バンビ3年生のつもりです。
本家4やってなくても多分読めるはず。

***

今日は美奈子ちゃんとデートだ。
待ち合わせの駅前広場へ向かう。
そろそろかな、待ち合わせ場所へ走ると、

「きゃっ!」

女の子とぶつかった。

「ごめん、大丈夫?」
「すみませんでした、こちらこそ」

ショートヘアの小柄な女の子が謝る。
かわいらしい感じの子だけど、オレには美奈子ちゃんがいるから……と思い立ち去ろうとしたら、女の子が荷物をぶちまけていることに気づく。

「ごめん、ぶちまけたよな?」

女の子の荷物を拾うのを手伝う。

「いいえ。手伝ってもらってすみません」
「いいって。ぶつかったのはオレだし」

女の子はぺこっと頭を下げる。
本当に礼儀正しい子だなぁ。
女の子の荷物を拾うと、小麦粉、砂糖、卵(幸いなことに割れてなかった)、生クリーム……これってもしかして……?

「ケーキの材料?」
「はい。私、スイーツを作ることが好きなんです」

お菓子作りが好きな女の子らしい。
確かに女の子の雰囲気からそんなイメージあるなぁなんて思う。

「今日はお店もお休みだから、家で自分で作ってみようかなって」
「そっかー。やっぱそういうとこでバイトしてるんだ」
「あっ、アルバイトじゃなくて、本当に働いてて。夜は定時制の学校に通ってるんですけど」
「マジ!?」

女の子の言葉に驚く。
働いてるって言うけど、どう見ても……。

「オレ、今年で17なんだけど、君は?」
「あっ!じゃあ、同い年です。私も11月で17歳になるんですよ」

驚くことに女の子はオレと同い年らしい。
しかも同じ11月生まれとは誕生日も近い。

「マジ!?オレも11月生まれ!25日なんだけど」
「そうなんですか!?私は9日です」

あどけない外見から年下かと思ったら、同い年でむしろ、向こうの方が何日かお姉さんじゃん。
オレと同い年でもう働いてる子もいるんだなぁと思いつつ、同い年なことに親近感が持てた。

「へー、マジで誕生日近いね、オレら。オレ、新名旬平。君は?」
「私は水月春奈です。ハルって呼ばれています」
「そっか、ハルちゃんか」

と、ハルちゃんと話していたところに、

「ニーナ!」

美奈子ちゃんが現れた。
しかも何か怒ってるし。

「美奈子ちゃん……」
「待ち合わせ場所にいないと思ったら、女の子にナンパしてたなんて!」
「はっ……!?いやいや、違ぇし!」
「嘘!じゃあ、何で……」

ハルちゃんと一緒にいたところを、美奈子ちゃんにナンパだと思われたらしい。
それで美奈子ちゃんは怒ってて、ヤベぇと思ったら、

「本当に違うんです。新名くん、私とぶつかって荷物拾うの手伝ってくれて」

ハルちゃんが事情を説明してくれた。

「えっ?そうなの?」
「そうなの。アンタと約束してんのに、ナンパなんてするわけねぇじゃん」
「そっか、ごめん……」

美奈子ちゃんはようやく事情を理解してくれた。
すると、オレらを見たハルちゃんが、

「あの、お2人は付き合ってるんですか?」

と、聞いて来た。

「えっ!?わたし達は同じ部活の先輩後輩で……」
「えっと、ま、まあ、そんなとこ……?」
「ちょっと、ニーナ!」

なんてオレらが言い合ってたら、

「いいなぁ……」

と、ハルちゃんは呟く。

「私も好きな人とこんなふうに出かけられたら……」
「好きな人?」
「はい、学校の先輩なんですけど……」

ハルちゃんから好きな人の話を聞いた。
その人はハルちゃんの学校の全日制に通う一コ上の先輩らしい。
昼間その先輩が使っている机を夜に定時制のハルちゃんが使っていて、そこから交換日記のやり取りが始まったらしい。

「ごめんなさい、こんな話」
「ううん。何か、すごいね」

美奈子ちゃんもハルちゃんの話を夢中で聞き入る。
ほんと、映画やドラマみたいな話だ。

「で、ハルちゃんはその先輩には会ったことあるの?」
「それが……ないんです……」

驚くことに、ハルちゃんはその先輩に会ったことはないらしい。
確かに全日制の生徒と定時制の生徒が顔を合わせる機会は中々ないかもだけど、こんだけ交換日記のやり取りをしているのに何か意外だった。

「先輩は会ってみたいって言ってくれたんですけど、私、お店もあって忙しいし、それにきっとがっかりされちゃうだろうから……」
「そんなことないよ、ハルちゃんなら」

美奈子ちゃんもハルちゃんを励ます。
ハルちゃんのそういう気持ちも分からなくもねぇけど……。

「先輩に会ってみたいって言われて、ハルちゃんは先輩に会いたいって思わなかったの?」
「えっ……?」
「ハルちゃんが先輩が好きで会いたいって気持ちがあるなら、オレは会った方がいいと思う。会えるうちに会っとかねぇと、会えなくなったときの後悔がデけぇから」

オレもそうだった。
高校に入学する前、美奈子ちゃんに何度か会って、会う度彼女に惹かれていって、やっと彼女を好きになりかけていたとき「今度会ったら、お互いに自己紹介しようぜ」なんて言ったら、高校入学まで彼女に会えなかった。
あんな思いはもう二度としたくないし、ハルちゃんにだってして欲しくない。

「ニーナ……」

美奈子ちゃんの声ではっとした。
ハルちゃんも黙り込んでしまっている。

「……なんて、偉そうだよな、オレ」

ハルちゃんもあんな思いして欲しくねぇとは言え、自分の気持ち押し付けただけだよな、と思ったけど、

「いいえ、新名くんの言う通りですよね」

と、ハルちゃんは言う。

「今はこうして交換日記でやり取りできても、来年の春に先輩が卒業してもう会えなくなったらって考えたら……。私、先輩に会って気持ちを伝えたいです」

そう言ったときのハルちゃんの意を決したような瞳を見て強いって思った。
こうやって、この子はパティシエールになる夢のためにいつも頑張っているんだろうなって。

「ハルちゃんなら、きっと大丈夫」
「はい!」

ハルちゃんなら、先輩にちゃんと気持ちを伝えられるし、きっと上手く行くって思った。
てか、上手く行って欲しい。

「あっ、私、もう行かないと!」
「マジ、もうこんな時間?」

気がつくと、美奈子ちゃんとの待ち合わせ時間から結構経っていて、長いことハルちゃんと話しこんでいたことに気づく。
初対面とは思えないくらいだ。
ハルちゃんと別れて、美奈子ちゃんと二人になる。

「ハルちゃん、先輩と上手く行くといいね」
「うん。てか、行って欲しいよな」
「そうだよね。でも、びっくりした。ニーナがあんなにハルちゃんのこと応援するなんて」
「えっ、まあ、ああいうのはほっとけないってか……」

何か重なったんだよな、自分と。
相手が一コ上ってのも同じだし。

「何?じっと見て」
「いや、何でも……」

ハルちゃんにあんなこと言った以上はオレも言わなきゃだよな。
美奈子ちゃんとの関係が変わるのがこわくて、中々言えてねぇけど。
でも、今日ハルちゃんに会って、オレも前に進まなきゃって思った。

「あっ、そうだ。今度ハルちゃんのスイーツショップ行かね?」
「ハルちゃんが働いてるお店?」
「そ、きらめき市にあってちょっと遠いんだけど、今女の子に人気みたいでさ。アンタもこういうの好きかなって」
「うん、行こう!」

と、笑う彼女にこの先もずっとオレの隣で笑っていて欲しいから。
オレも伝えよう。
アンタが好きだって。

***

ハルちゃんと本家4主人公のことを聞いたら、ニーナは他人事のようには思えないだろうなと思って。
ハルちゃんはニーナと同い年でも話し方が敬語以外しっくり来なくて敬語のまま書いちゃいましたが、実際ニーナに会ったら呼び方も含めてどうなんだろう?
最初に書き始めたのが本家4クリアした6月だったのが、原稿があったりで書き上がったのが2ヶ月後になりました。